毎度(といってもそう多くない)の親父ソロキャンプ。今年も11月にお声がかかった。
親父ソロキャンプとはどういうものか。それはバックナンバーをお読みいただき想像してみてください。
●07年11月 『信州の山でキャンプ』
●05年11月 『キャンプで羊鍋』
●04年04月 『洪庵親父オフ2004』
●99年02月 『親父たちの焚き火(2)』
●98年10月 『親父たちの焚き火』
というわけで、実は今年すでに十年一昔の巡りを終えて、初回を開催してから11年目の秋ということになっていたのでありました。
場所は昨年と同じ、長野県下伊那郡阿南町にある和知野二瀬キャンプ場。伊那谷の南方、和知野川が深く峡谷を刻み、日照時間が極めて短い谷底にある。よって、朝晩は結構冷える。しかし、焚き火をガンガンと燃すので、焚き火をしている間は暖かい。
そんな場所に集まったのは、幹事(いいだしっぺ)のライダーさん(ブログ参照)。八王子の渡部さん(ホームページ参照)、豊橋のまさりんさん(ホームページ参照)、不肖私mIKEの4名であります。そして今回ご訪問者がありました。東三河は田原のYuhさんと愛犬希樹(キキ)のお二人。
では、かいつまんでキャンプの様子を。
□□ 08年11月22日(晴れ)
直前の天気が大崩れだったので、あの谷底で雪にでも降られたら、車重2トンを越える我が愛車エスティマ君では、どんなにあがいても、あのキャンプ場のはるか頭上にある国道151号線にはたどり着けないだろう。そうなれば陸の孤島に隔絶されたも同然。
まして今回は、日頃の不真面目さが祟り、仕事がオーバーフロー。ついにキャンプ場に仕事持参で駆けつけることになってしまった。これが元で仕事に影響を出してしまったらどうなることやら。まことに不安だらけである。
不安と切迫感を持ちつつ、ぼくは中央道を小牧からひた走り、キャンプ場に到着したのが10時過ぎのことであった。
キャンプ場には誰もいない。焚き火の位置を決め石を置いたりして準備を始め、テント(新品、初物!)を意気揚々と張っておりましたら渡部さん登場。
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いつものところにテントを張る
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ちょうど誰かが残していった薪が東屋にあったので、これ幸いと渡部さんがさっそく火をつけ、焚いているところにライダーさん登場。
焚き火を囲んでのんびりとはじめます。
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さっそく焚き火
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ぼくは今年のボジョレーを飲み始める。去年もその前もちょうど時期が同じなので、毎年このキャンプでボジョレを飲んでいる。今年のものは甘みがほどよくあって飲みやすい。フランス各地は日照りだったのではないかと想像できる味。2008年はワインの当たり年になるかもしれない。
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今年のボジョレは美味しい
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昼時になった。
途中の道の駅で買ってきた新蕎麦を茹でる。皆にもおすすめする。しかし本当は、このキャンプにおいては、料理をおすすめしないのが礼儀だ。なぜなら、それぞれ適当に好きなように食べたり飲んだりすることを目的に来ているからだ。
ぼくは、今年もキノコ汁。渡部さんは肉づくしだそうだ。ライダーさんは、ユニフレーム社から発売されている『飯袋』でご飯を炊いて食べるのを主眼としている。
だからどうだということではない。自由にするのがぼくらのルールだ。
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木立に煙が立ち上がる
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昔は、目的を作って皆で楽しむ、なんてことばかりやっていた。それはそれで非常に面白かった。キャンプ場で肝試しをやったこともある。餅つきをやったこともある。梅見だ花見だ、飽食だ。パワーにあふれたキャンプばかりであった。ぼくなどは、せっかく皆が集まるのだからなにかやらないと損をする、と考えていたふしもある。
今は、そんなことも思い出になり、焚き火を囲んで四方山話の種になった。
さて、どうにも落ち着かないのはぼくだ。
どうしても頭のどこかの隅っちょにひっかるものがある。仕事だ。これがある限りワインも美味しくないだろう。焚き火だってつまらない。写真を撮るのも楽しくない。
ぼくは、失礼してついにパソコンを広げ仕事モードに突入する。
東屋から通信する。違和感無く仕事場と連絡が取れる。時代は進歩したものだ。それと同時に仕事も遊びも区別がつかなくなっている。それはいけない。オンとオフを上手に切り替える。それが理想なのだけど。
小一時間ほど過ぎた。午後3時には山の端に日が沈む。急激に暗くなり、午後4時を過ぎるとランタンが必要となってくる。
焚き火はパチパチと火花を飛ばし、ぼくらは夕餉の支度。
ぼくはダッジオーブンでキノコ汁を作る。
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小さなダッジオーブンだがオールマイティに使える
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シメジ、しいたけ、舞茸、なめこをドンと放り込み、鶏肉、里芋とだし汁。これをグツグツと煮込んでから、ネギとセリを投入。さあ食べる。
美味い。美味いったらない。キノコと鶏肉の良い味が染み出し、芋がホクホクとほぐれ、だし汁が複雑な旨みで満たされている。う〜っ、満足。
焚き火を見ながら飯を食べおえてもまだ午後6時。あとはまたしても四方山話。ぼくは時々ギタレレを弾く。
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ランタンの明かりは気持ちを落ち着かせる
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予期せぬお客様を乱入者と呼ぶ。今回の乱入者は愛犬希樹とともに現れたYuhさんである。焚き火の周りで談笑。はるばるようこそいらっしゃいました。とてもうれしい。
ぼくは飯を炊いた。腹が減っているわけではない。バーナーを使って飯盒で飯を炊くこと。それが好きなだけなのだ。それなりにうまく炊く自信はある。
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丸飯ごうとシングルバーナーのとろ火
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吹きあがる蒸気の匂い。炊けるまでじっと待っている時間。それが楽しく大切なものに感じる。炊けた。
炊けたご飯は明日食べることにする。
午後11時を過ぎて話が尽きた。それぞれ就寝した。ぼくも新しいテントにもぐりこんだ。
□□ 08年11月23日(晴れ)
夜はまったく寒くなかった、おそらく零下にはいってなかったと思われる。
朝も適当にそれぞれたしなむ。ぼくは昨夜のキノコ汁で雑炊。絶妙な美味さ。土鍋がわりのダッジオーブンも喜んでくれよう。
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夕べ炊いた飯をぶっこんで雑炊
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腹が膨れたところで、3人で散歩。というより緊急撮影会の趣き。ぼくは渡部さんに撮影のコツなど指南してもらった。
今年になってカメラをデジタル一眼に換えた。
ペンタックスのK200Dだ。春に買って以来、これまでにおよそ8000枚撮影した。ようやくカメラが手になじんできたような気がする。
「最近、mIKEさんの写真、ちょっと良くなったんじゃないですか?」
などと言われ、うれしくなる。レンズの違いもちょっと判別できるようになった。
最初の頃は、コンデジのときの癖が抜けず、写真を撮るときになにも考えもしないでカメラ任せにシャッターを押してしまうことが多かった。そんな写真が多いのは判る。
このごろになって、少しずつ、意図した写真が撮れるようになってきた。しかし、まだまだ上手くいかない。
秋の田舎を撮ろうというわけで3人で谷底の道を人家のほうに向かった。
紅葉(この地域は赤色が少なく、ほとんどが黄色か茶色に色づいている)や風物を撮影しながら、構図や撮影位置などを教えてもらった。
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山が写って
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キャンプ場に戻ると、まさりんさんが到着していた。
ほどなくして昼飯。ぼくは、朝の雑炊の残りをまた食べる。焚き火で暖めたら、リゾットのようになって実に実に美味しかった。今回、このキノコ汁で3回食事をして、なにも不満ありません。それだけでもぼくは今回キャンプに来て楽しかったと思う。
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ぼくの居場所
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それなのに、今回はいろんなことをやったような感じがするのはなぜか。やっぱり焚き火の周りで話をしたことか。焚き火をみんなで撮影したことか。
メンバー全員揃ったところで、さあ、何もするわけでなし。
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静かな午後
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再び焚き火を囲んで四方山話。
午後、Yuhさん再び登場。
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何見てるの?
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で、またすぐに夜。
今夜は、まさりんさん渾身のキノコとクリームチーズのパスタ。いただきました。とてもとても美味しかった。ぼくはまたしてもボジョレー(2本目に突入)。
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ショートパスタにパルメザンチーズをタップリかけて
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暇にあかせて(けっして暇なわけじゃないのだが)焚き火の写真など撮る。ワイワイとすごす。
ぼくは、口数は少ない方です(他のメンバーのことはよくわかりませんが)。
よって、焚き火を見つめてギターなど爪弾くのが大好きであります。弾くのに飽きたら会話に入ります。なにせ、一晩中話しても足りない人が揃ってますから、こちらは、好きなときに好きなようにさせてもらうのであります。贅沢です。
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焚き火は闇夜を焦がす勢い
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今夜は昨夜と異なり、少々冷える気配。明日の予報は雨。
ぼくは早期帰宅を意図して、テントはすでに撤収した。自分は東屋の軒を仮り、もはやぼくの定番、その昔輸入通販で買ったコットで野宿スタイルで寝る。このスタイルで今宵一夜を突き抜けて行く予定。
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二泊目はコットでシュラフ
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このスタイル、いざというときに時々訓練しておいたほうが良い、と自分では思っている。先月、急に思い立って兵庫県の北、餘部鉄橋を見に行ってキャンプ場に入ったはいいものの、テントを忘れ、それでもキャンプができたのは、この野宿スタイルに馴れていたからに他ならない。⇒「放電生活連絡版」参照
さて、今夜も三々五々解散して、ぼくもシュラフに潜り込んだ。照明をすべて消すと、不安なくらい真っ暗になった。
夜更け、シュラフの中はヌクヌクポカポカだったが、顔の部分だけ非常に寒かった。
山から吹き降りる冷たい風が、雪女のため息よろしく、ぼくの顔に当たり続けておりました。シュラフに潜り込むと息苦しくなるし。なんどか目が覚めた。顔面防寒の手立てが今後のぼくの課題ですね。(テントの中でで寝ればいいだけですが)
またしても朝。8時までに全員撤収を完了しキャンプ場を後にしました(このあたりの作業、実に早いです)。
キャンプ場から会社に向かう道すがら(泣)、やはりこういうキャンプでなにかを貰ってきたことを感じるのでありました。仲間からもらったもの、キャンプという空間、時間からもらったもの、自然からもらったもの。そんなことを感じつつ、さて仕事すっかあ、という気持ちになったのは確かであります。
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全員集合
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