□□ 再び横須賀から 〜 風力発電風車まで
今年2月。急に思い立って三浦半島を走った(『激走三浦半島参照』)。
バテた。半分を走ったところで足が痛くなった。BD−1から降りると頭がクラクラとした。もうやめよう、もう帰ろうと思いながら結局鎌倉由比ガ浜にたどり着いた。そしたら後輪がパンクした。もうこれ以上無理するのはやめなさい、そう神様が言ったのだと思った。
それからぼくの頭の片隅には、いつもそのことが小さな置物のようになっていた。仕事が急に忙しくなり、泊りがけのキャンプにはいけなくなってしまった。だからそのかわり毎週ぼくはBD−1にまたがり、20キロ走ることにした。気を紛らしながらぼくの身体に20キロという距離を覚えこませた。
ハンドルにエンドバーもつけた。あの時、走っていて腕が疲れてチカラも入らなかったから。パンクの修理も覚えた。由比ガ浜でパンクしたのは幸運だった。もしどこか山の中でパンクしていたらという反省からだ。サイクルパンツも買った。尻が痛くなるし膝の自由も失われるからだ。
そうやってぼくはゆっくり準備をした。今日この日のために。
家から京急横須賀中央駅まで、およそ1時間半。前回と同じ駅出口でBD−1を組み立てた。
出発する。8時30分。
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横須賀中央駅前で体制を整える |
セブンイレブンでおにぎりを買う。海の方に出て海風公園。この前見たオブジェもそのままだ。ここで朝ご飯。これからの事を考えた。無理せず時速15キロで行く。前回、最初に無理してバテた。慎重に慎重に。
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海風公園のオブジェ お気に入り |
海岸線は風が強かった。向かい風を受けるととたんにペダルが重くなった。進まない。やっぱり大変だ。行けるかなあ、などと思い始める。
景色を思い出す。そうだ、この先に登りがある。そのあとずっと長い下りだ、そして岬をまわると…。おお、観音崎だ。
思いがけず最初の目標地点になんなく着いた。観音崎は、こんなに近かったかな。今日は灯台には行かないでこのまま走る。
9時13分。観音崎。8km。
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道ばたの観音崎灯台 |
ペダルの出し方も覚えた。ハンドルをひきつけるようにチカラを込める。グイッ、グイッと坂を登る。トンネルを抜ける。下り坂をペダルを蹴って駆け下る。帽子が後ろに吹き飛ぶ。団地を抜けて細い道を進むと、大きな船がまじかに迫る。
9時40分。浦賀。14km。
デカイクレーンを見ながら走る。そしてまたトンネル。トンネルを抜けたところにお地蔵さんがいたはず。そう、赤マントの。今日は誰かがマントを結び付けていた。同じBD−1乗りが声をかけてくる。あっ!こんちは!ぼくもこたえる。
ぐんぐん加速する。
9時50分。久里浜。17km。
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今日の赤マント暖かそう |
ペリー公園前を通り過ぎ、さて、この先急な登りがあるはず。きた。ギアをローに移してひとかきづつ登っていく。さすがに息が切れる。坂を登ればこんどは下り。いまの貸しを返してもらう。加速して降りる。怖いくらいスピードがあがる。制動する。
10時15分。野比海岸。21km。
予定の20km一本目が終わった。休憩したいところ。ちょっとだけ停車して水を一口。今日は全然汗をかかない。早々に出発。
波の音が聞こえてくる。海岸沿いの歩道を走る。とても快調。しかし途中から歩道がなくなり車道を車ギリギリに走る。
10時30分。三浦海岸。ここで昼食の予定だった。ラーメン屋『一喜』で食べたい。でもまだ開店してない時間。時間ロスをしないためにも立ち寄るのを泣く泣くアキラメる。他に食べるものを探すことにして。
海岸では地引網の人たちで賑わっている。夏の名残り。シルエットがはしゃいでいる。
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地引き網を楽しむ人達 |
道を剣崎に向かっていく。港を過ぎて、今日ふたつめの難所だ。長い登りがダラダラ続く。その先には風車があるはずだ。今日も風を受けてゴンゴンと回っているのだろうか。ひとかきひとかき、登っていく。2基の風車が見えた。元気がでる。回っている。
11時15分。風力発電風車。34km。
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あいかわらずゴンゴンと回る風車 |
続・三浦半島激走(2)に続く