□□ 02年2月9日
福島県天栄村にある羽鳥湖レジーナの森コールマンキャンプグラウンドに行った。
冬のキャンプで2泊3日というのはなかなか辛いものがある。
なぜなら、1日目にはまず雪の中にテントを張る。だから、雪を踏み固めたり、雪かきをしたりしなければならず、タダでさえ着ぶくれして身体が固くなっている身には、これが重労働なのである。
2日目に遊びが当てられる。ぼくの場合はスキーである。一日思いっきり(よせばいいのに)遊ぶから、1日目の疲れと2日目の疲れの相乗作用によって、その夜の酒がグルグル回ることになる。
従って、3日目の撤収時点で体調は最悪になっているという塩梅である。もっとも、ぼくの場合は初日の夜から意識酩酊になる場合があるが、それはこのキャンプ場に隣接している天翔の湯という温泉とぼくとの相性が悪いせいである。少しでも飲んだらここの風呂には入らない方がよろしい。
さて、ここへくるのはこれで3度目。いつものように東北自動車道那須高原SAで待ち合わせして白河の町で買いだしをする。今日は昼から白河ラーメンにしようということになった。
ぼくはメンバーのために白河ラーメンのことを徹底的に事前調査していた。そして最近流行っているという3軒の店をあらかじめピックアップしていたのである。超おすすめ。自信満々である。
とある一軒のラーメン店に車をつける。時間は11時半頃である。東京ならば人気店はすでに行列ができている時間帯。さすがに白河はそんなことはないようだ。さっそくラーメンを注文する。ラーメン一杯500円。これがこの地区の相場である。店内には野菜の匂いが漂っている。なかなか良い匂いである。
さて、次々とラーメンが出てきた。ぼくらは夢中ですする。
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暖簾が風にたなびく |
海苔、若芽、チャーシュー、麩、ナルト、シナチク、ネギ、そして手打ち麺 |
ズリズリリッ、うむむ?ズリズリ、ハフーッ、うん?誰も無言である。ぼくも沈黙する。白河ラーメンは喜多方ラーメンと並び賞される、福島県が誇る地場産業のひとつである。その特徴は、鶏ガラと生醤油によって創り出されるあっさりとしつつもコクのある上品なスープと、手打ち縮れ麺の織りなす玄妙な味のハーモニーである。
しかし、なぜかいまひとつ納得がいかない。物足りない。確かにあっさりしているにはいるのだが。メンバーもなんだか妙な顔つきである。そうはいっても、万難を排し調べ上げた名店の味のはず。間違いはなかろう。これが白河ラーメンなのだ。
評価点は…、ううむ4点なんていったら白河の人は怒るだろうなあ、でもどんなに頑張っても4点半というところ。とりあえず、ここは仮4点ということにしておこう。メンバー達は、もう一生白河ラーメンは卒業したよ、というような顔をしている。こんなんだったら蕎麦でも食べてりゃよかった、mIKEにだまされた。という顔でもある。
気を取り直して羽鳥湖に向かった。ぼくは車中で、もう一度だけ白河ラーメンにチャンスを。帰りにもう一軒別の店にいって食べてみよう。それでも同じような評価ならば、ぼくも白河ラーメンを卒業することにしよう。そう考えたのだった。
傷心の道路は雪もなく、しごくあっさりとキャンプ場に到着した。
さっそくサイトを作る。時々思い出したように雪が降ってきた。
ぼくは雪を踏み固め、モンベルムーンライト7を建てた。なんだかやたらでかい。こんなにでかいテントだったかなあ、久しぶりに見るわがテントのりりしい姿にしばらく見とれていた。
ところが、雪を巻き上げ天をも曇らす一陣の突風。ときおり激しく吹き抜けていく。ぼくは初めてここへ来たときのように、テントが雪に埋もれてしまわないよう、風よけブロックを風上側に積み上げた。さながら万里の長城の趣である。鉄壁とはまさにこれをいうのであろう。
見かけによらずこの壁の威力は絶大で、ペグの効かない雪原にあって、テントに風および吹き付ける雪への抵抗力をつけるための手段としては最高であった。
テントを設営したぼくは、すでにみんなが建てているスクリーンテント温室に入った。温室の中には渡部さんが持参してきた薪ストーブが赤外線を放出している。薬缶がシュンシュンと湯気を上げており、外の寒さを感じない。冬のキャンプは雪が外の音を吸収してしまうのと、人が少ないのとで、夏などと比べたら実に静かである。ところが、人間、暖かいところではやはり騒々しくなる。とりわけ我々の場合はそうである。だから周りに迷惑のかからない冬のキャンプが良いのである。
ぼくは、さっそくテーブルに座って、酒の肴を準備する。今日の肴は、ホヤ、トロ鰹、牡蛎である。キンキンに冷やした日本酒に合わせて持ってきた。酒は、浅太郎さんの持ってきてくれた久保田とぼくの持参した三千盛である。これだけあれば、ご飯はいらない。
ちなみに、今日のサイトは電源もあるので、ご飯は炊飯器で浅太郎ママことカツコさんが張り切って炊いてくれた。
ぼくは水のようなお酒をちびりちびり。あたたかいテントの中でのんびりとする。あっという間に夜になった。子供達はラッセル車が押し上げた雪山に穴を掘って遊んでいる。いつも彼らはここへくると狂ったように穴を掘る。ランタンを穴に持ち込んだ。ほの明るい光が人影を薄く伸ばしていくのが、なにやらとてもきれいである。
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雪山を掘る子供 |
今日のご飯のおかずはすき焼きであった。穴からでてきた子供達は猛烈にすき焼きを食べて、嵐のように再び穴に戻っていった。ぼくは、相変わらずのペースで飲み続ける。渡部さんはすでにテントに退散。takudenさんもお疲れのご様子。今日は朝も早かったし、早々の仕事でどっと疲れがでてくるのであろう。それにしてもぼくの快調なこと。これは一番危険なパターンである。言論明瞭にして記憶曖昧。食欲旺盛にして過剰摂取。
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すき焼きを作るかつりゅう氏 |
すでに安眠takuden氏 |
いつのまにやら夜も更けた。ぼくはわが妻かおりさんに支えられてテントに戻ることとあいなった。
テントの中は静かであった。