□□ 02年2月10日
2日目の朝は唐突にやってきた。7時。すでにみんな起きている様子。隣りのわが妻もすでにいない。ぼくは頭を振り振り外に出た。空は曇り。雪が舞っている。さっそくコーヒーと、昨日のすき焼きの残りにウドンを入れたものをエッチャンが朝ご飯にだしてくれる。
カツコさんとわが妻かおりさんがお握りをにぎっている。スキーに出かける、ぼく、かつりゅう氏(車だしてくれてありがとうね)、マサキ、ヤス、マーの5人のお昼ご飯なのである。昨日の残りご飯に鮭茶漬けを混ぜたものと、炊きたてご飯に梅干しをいれたもの。これをアルミホイルとラップにくるみ、冷えてしまっては美味しくなかろうと、シャトルシェフにいれて持っていけという。
なんとありがたい母の愛。ぼくらは拝復してこれを頂戴した。でも、このおにぎり食べられなかった。
なぜなら、ちょうど食べようかというときに、あろうことかおにぎりが糸を引いたからである。
スキーを終えて車にもどり、さて腹減ったし、おかあさんの愛をいただこうぜと、アルミホイルを取ったとき、ネバーっと糸が光ったのである。さながら納豆である。まさか、おかあさん達間違って納豆混ぜてないよな。などといいながら別のアルミホイルを取った、ぐにゅぅぅ。またも糸である。おにぎりはちょうど人肌程度に暖かかった。どこからか納豆菌がはいりこみ、ほんのりと暖かい保温器の中で盛大に繁殖したのであろうと思われた。母の愛が消えていった瞬間であった。
そんな結末になろうとうはツユ知らず。ぼく達はかつりゅう氏のランクルで元気満々スキー場に向かったのであった。
スキー場というのはキャンプ場から約2キロほど離れたところにある羽鳥湖スキー場。スキーのセットを借り、スキー場に到着したのが9時。さっそくリフト券を購入し、ぼく達はゲレンデに出た。
スキーを着けた子供達に準備運動をさせる。そして緩い斜面を滑らせる。去年一度滑っただけだが、結構良い。これなら大丈夫。ぼくは早速リフトで上に向かった。
山の上は結構強い風が吹いていた。それでも元気な連中である。休むことなく滑りまくる。このスキー場は比較的平坦ですべりやすい。半分以上がスノーボーダーであるが、それほど気にならない。雪質もまあまあだった。
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頂上近くで |
昼食は山の中腹にあるロッジでラーメンである(またラーメンだ!)。そして持参したパン。お茶。ほっと一息いれてからまたゲレンデに飛び出す。午後3時。そろそろ帰ろうと最後に一本。山の頂上から一番したまで、ほぼノンストップで滑り降りる。ぼくの足は悲鳴をあげる。それでも昔取った杵柄。なんとかターンを決めていく。
快い疲れと筋肉痛。今日はよく眠れるだろう。
サイトに戻って、ぼくはすぐに風呂に入る。ここはキャンプ場に隣接して温泉がある。内風呂がひとつと露天風呂がふたつ。露天風呂につかっているとつい時間を忘れてしまう。外気が冷たいので、身体が必要以上に暖まっても、脳がそれを感じとらないからだと思う。酒など飲んではいろうものなら、一発で昇天間違いなし。それで、最初に失敗した。去年もそうだった。今年は絶対に酒を飲んでは行かない。
気持ちよく身体があたたまり、林の中のサイトに戻る。テントの中では、ストーブの周りで餃子を焼いている。またしても母の愛が詰まった手作り餃子である。一つ二つ食べてみる。美味しい。なにせ腹減っているから。
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鮎を焼く |
炭火の番はふくろう氏 |
餃子のあとは鶏肉団子汁。スクリーンテントの中で酒を飲みつつストーブにあたっていると、はたして今が本当に冬なのかどうなのか、判らなくなってきてしまった。
それで、ぼくはフクロウ氏とともに外に出て、フクロウ氏の持参したシシャモ、カマス、鮎、焼き鳥などを七輪で焼きつつ、キンキンに冷えた三千盛を飲もうということにした。
外に出ると、そこはやはり冬である。吐く息はフウウゥッといつまでも白く空に昇っていく。見上げると梢の間にきれいな星がキラキラと光っている。冷たい両手をこすりながら、ランタンの光を楽しみながら、酒を飲んだ。
フクロウ氏nyankoさんご夫妻が持ってきてくれた川辺川トラストの鮎は身が大きくしまった逸品だった。ぼくはそのうちの一匹を鮎雑炊にした。鮎の香りのする上品な雑炊ができた。
子供達の雪洞は人が6〜7人はいることの出来るものに出来上がった。中で焚き火をやろうと、takuden氏が火をつけている。湿った薪にガソリンなどかけるものだから、中に煤が充満している。それでもようやく火がついたと思ったら、天井から水がポタポタ落ちてきて、結局子供達は中で遊ぶのを諦めたようだった。
あいかわらず静かな夜。ぼくはまたしてもわが妻かおりさんに支えられてテントに戻った(ような気がする)。
(その3に続く)