□□ 02年9月14日(土)
半年振りである。キャンプである。半年も車に道具を積んでいないと勘が鈍っているのが自分でも判る。なにか忘れ物をしている、きっとしている。しかし、今日はいつもの仲間も一緒だから安心。
みずがき山ヘルシーランドに行く。ここは静かで涼しくて、ぼくがとても好きな場所。ぼくはいままでの思いをぶつける意味で、好きなように好きなものを食べ、好きなものを飲み、好きなことをするつもり。不健康に暮らす。それが欲求の溜まったぼくの神経には一番良いのだ。
調布インターに入ったとたんに渋滞につかまった。でも、良い。これもキャンプ。これも不健康の一環。およそ3時間かかって韮崎に。スーパーで買い物。牛ヒレステーキ肉。インスタントラーメン。地物のシイタケ。ウィスキーとワイン。七輪の燃料として豆炭10キロ。
明野町からみずがき湖を抜けて黒森を経由し、瑞墻山の麓にあるキャンプ場へ。空からはシトシト雨が降ってきている。まだ誰もいない。木立の中にテントを張る。久しぶりの設営。ゆっくりと味わいながら張り綱を確かめる。テーブルを出す。七輪をセットする。クーラーボックスを置く。ランタンにガソリンを入れる。コンロに火をつける。豆炭を熾す。しばらくじっとしている。ポツポツとタープを打つ雨音を聞く。
|
霧雨の中テントを張る
|
しだいに仲間が集まる。ぼくは昼飯に買ったインスタントラーメンを食べるのも忘れてウィスキーをロックで飲み始める。七輪でシイタケを焼く。醤油をつけて焼く。美味い。みなそれぞれの食べ物を出してくる。今日は肉を食べる。絶対美味いはず。楽しみ。
|
いつの間にかタープが広がりいつもの屋根の下
|
夕方になる。話題は尽きない。しかし、ふと気が付いたら真夜中。ぼくはなぜかテントの中だった。気持ち悪い。時計を見る。午前3時。気持ち悪い。外に出る。漆黒の闇。吐いた。車まで這いずる。なんとかドアをつかまえ開ける。マグライトを取り出し。またテントに戻った。ああ、肉食べるの忘れた。明日の朝にでも肉食べよう、そう思いつつまた気を失った。
朝、物音で目を覚ました。えっちゃんが起きてコーヒーを入れているところだった。
おはよう。あれ?このワイン飲んじゃった?
そうよ。だってmIKEちゃん、自分で開けてそれから半分くらい飲んじゃったでしょ。
え?
ほらそのズボンの染み、ワインこぼしたの覚えてない?
ない。でもほら、昨日肉食べてないよね、今日食べないといけないよね。
ええ?夕べ食べたじゃない。覚えてないの?ほら、みんなでここに肉広げて、炭で焼いて、大根オロシで食べるっていうから私擦ったわよ。mIKEちゃん証拠写真撮ってるはずよ。
どれどれ、あっ、ホントだ。
ねえ、覚えてないの?
まったく。全然。
ぼくは、ホントにまったく全然覚えていないのだった。肉食べたこと。ワイン飲んだこと。きっと他のことも。だいたいえっちゃんの話を総合すると、ぼくは相当早い段階で記憶を失っている。テーブルの上には半分空いたボトルと空のワイン瓶。記憶を失うということは悲しい。肉食べたにも関わらず本人には味も香りも感触もなにも残っていないのだ。それは食べてないことと同じ。良い子は絶対真似しないように。
|
記憶にない ステーキ食べたの
絶対美味かったはず でも覚えてない
大根おろしに醤油を垂らしたレアの肉
|
さて、ひとしきりそんなお馬鹿な話をしたあと、SHIMAさんに自転車のメンテナンスを教えてもらう。ついでにブレーキの調整、スポークバランスの調整もしてもらい、BD−1もリフレッシュ。車に積んで野辺山に出かける。
|
BD−1のメンテナンスをしてくれるSHIMAさん
|
野辺山のレストラン志奈野というところに、登録商標『石鍋燻タンラーメン』というのがあるらしい。まずそれをみんなで食べる。石焼ビビンバにつかう石鍋でラーメンが出てくる。湯気がもうもうと立ち上がり、大丈夫かなあ、などと心配する。麺が伸びちゃう。さて、味ですが、ううむ。まあどってことない。普通のラーメンが食べてみたかった。好み度は4点でありました。
|
登録商標『石鍋薫タンラーメン』
薫タンというのは薫製の牛タン
薫タンはわずかに2枚入っている
|
さて、それから清里方面に出かける渡部さん、浅太郎さんとおりえちゃんと別れ、ぼくとSHIMAさんとでポタリング。電波望遠鏡を見ながら畑のあぜ道を行く。コスモスが咲いている。お約束のJR最高地点。いいなあ自転車というのは。
|
|
電波望遠鏡を見ながら走る
|
コスモス
|
それからサイトに戻る。テールさんとえっちゃん夫婦はもう帰っていた。道を下って増富の湯に出かける。この風呂。なんといってもぼくの好み。温い源泉に浸かっているといつまでも入っていられる。そのままぼんやりしているととても癒される。
雨の峠道をまた戻り夕飯。ぼくの今日の不健康メニューは炊きたてご飯にツナと大根オロシぶっ掛け。これが実にまた美味い。今度はゆっくり注意しながらウィスキーを飲んだ。ポツポツという雨音が強くなったが七輪の温もりで寒さは感じなかった。