□□ 02年1月13日
外で車のドアを開け閉めする音がしている。遠くで人の声がする。6時。目が覚めた。そうなのだ、ここは朝一番の富士を見るためにはるばるやってくる人たちで朝から道という道に人だかりができる。
ぼくも負けじとヘッドランプを灯して波打ち際にイスを出して日の出を待った。
星が消えると、シルエットが浮かび、次第に富士山の左の空が明るくなっていく。太陽が位置を変えるたびに空の色が、黒、青、赤、オレンジとめまぐるしく変化していく。雲が右手から流れてきて富士の表情をまた変えていった。
ちょうど陽が登る頃には、雲が重なってしまい、きれいな日の出は見ることができなかった。わずかに金色の太陽が光を放ってきたのは、それからしばらくたってからだった。そうそう良いチャンスは巡ってこない。
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夜明け 朝焼けの空に富士のシルエットが |
雲の隙間から光が |
サイトに戻ると、皆が焚き火にあたっていた。1時間半も湖畔に出ていたぼくは、身体が冷えてしまっていたし、とてもお腹が空いていた。また焚き火でご飯を炊いた。おかずは佐伯さんにもらったシラス。これを炊きたてご飯にどばっと振りかけて食べた。ああ、なんて美味しいのだろう。
それからしばらく、ぼくらは焚き火の周りから離れなかった。薪は伐採されたものをみなで拾ってきていた。その後、スパゲティを茹でたり、ビールを飲んだりしながらずっとそのまま過ごした。
日が陰ってきた。ぼくは、家に戻るためにテントを撤収した。そう、テントを撤収してしまうとようやくキャンプ場を去る決心がつく。帰りがけ、つるしてある寒暖計は
摂氏4度を示していた。
また新しい年が始まった。