・・>羽鳥湖冬物語3(その3)
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□□  02年2月11日

 3日目の朝は遅れてやってきた。

 夕べの記憶が薄らいでいる。ぼくはテントの中でシュラフをたたみ、すぐに撤収できる用意をすませてから外に出た。うっすら太陽の光が差している。

ムーンライト7

 ストーブのところにいくと、みな朝ご飯を済ませていた。ぼくはご飯を少しカップにとり、みそ汁をぶっかけて食べた。ちょっと二日酔い

 それから撤収が始まった。

 雪を払いのけつつテントをたたむのは骨が折れた。

 撤収を終え、もう一度みんなで天翔の湯に入った。空からは間断なく雪が落ちてくる。峠道がちょっと心配であったが、チェーン無しで下ってこられた。

 さて、お昼である。白河ラーメンに再チャレンジする。されど、わが仲間は『ぼくたちは蕎麦食べていくからねー』といって別行動。さもありなんというところ。来るときに白河ラーメンを食べなかったフクロウ氏nyankoさん夫妻が、ぼくらと行動を共にする。玉砕覚悟である。

 本隊と別れたぼくたちは、今日がだるま市という白河市内の狭い道を目的のラーメン店を探してうろうろ。やっと見つけたラーメン店は『カネダイ』という店。店先には人が並んでいる。

カネダイ前
カネダイ前で

 行列ができているなんて思いもしなかったので、まずびっくり。ふつうの民家の縁側からずんずん奥の座敷にはいるようなカタチになっていて、その廊下にも人が10人は待っている。ぼくは、ぼくたちの前に並んでいる家族の奥さんに話しかけた。
『こちらには良くこられるんですか?』
『良くってことはないけども、まあまあってとこかな』
『ここは美味しいんですか?』
 ここ、カネダイはぁ、最近流行ってきた店なんだよね。白河のひとはぁ皆ラーメンが好きなんでぇ、美味しい店はたいてい行列になります。え?○○さん?一昨日食べたの?行列できてなかったでしょ?あそこはねえ(といって首を横に振る)。あそこはあんまり人は行かないから。白河っていうとぉ、トラが有名なんだけども、最近あそこも味が落ちたんだよね。ここのはトラ食堂とはちょっと違う系統の味なんだけど、うちの主人が好きでさぁ、ちょくちょく来てるんです。

 一昨日の店はようするに地元の人はあまり好んでいかない類のところだったのである。とすれば、あながちぼくの4点評価は間違ってなかったことになる。で、ここのはもっと美味しいと…。ぼくの心は期待に打ち震えると同時に、一昨日のメンバーの落胆の表情が目に浮かんだ。ここはひとつ彼らのタメにもきちんと食して帰らねばならぬだろう。

 並びはじめて約50分ほどしてようやくテーブルに座れた。ふつうの民家の座敷である。みるとおばちゃんが一人で片づけや注文取り、配膳と動き回っている。この店の営業時間は11時から14時である。3時間しかやらないのは、少ない人手で店を切り盛りしているからだそうだ。賄いはじいちゃんと若い衆がひとりの様子だった。

お品書き
ラーメン500円
大盛りは100円増
ライスはサービス
餃子6ヶで150円

 

 ぼくはラーメン大盛り。他はラーメン。かおりさんとnyankoさんが餃子を追加。14時を過ぎた。もう待っている人はいなくなった。そうして出てきたラーメン。別皿でトコロテンがおまけについてくる。

 トッピングが美しい。チャーシュー、ナルト、ほうれん草、シナチク、海苔、海苔の上にキムチ味の白髪ネギ、フカヒレ、そして煮込んだ豚バラ肉。この豚バラ肉の味はひとことでいうと大和煮感覚。おそらくスープと一緒に煮込んだ物を別鍋で味付けしているのだろう。麺は白河共通の手打ち風平縮れ麺。スープはあっさりとした醤油味だが、煮込んだ豚バラ肉の旨味が染みこんだ奥深い甘味を感じる。キムチ味の辛味ネギの唐辛子がピリリと効いて風味がある。この味はなにかに似ている。山形風の芋煮。あるいはけんちん汁。すき焼きの割り下。たしかに普通のラーメンとは違う。美味しい

カネダイラーメン

 スープまで全部飲んで、ふううぅっ、と一息。みな満足。
 さて、評価しましょうか。6点です。ぼくの好みとしてはやはりもう少し魚系のダシがほしい。でも、これはこれでひとつの完成型といえましょう。先の奥さんによれば、○○さんとこのぉスープは全部飲めないでしょ?でも、ここのはぜーんぶ飲めるんです。
 確かに。やはり白河ラーメン、まだ奥が深そうであります。味が落ちたといっても老舗『とら食堂』にはいずれ決着をつけに行かねばなりますまい。

 かくして、本年の羽鳥湖キャンプも無事終了。
 ぼくらは東北道をひたすら走って夕暮れの東京に戻ったのであった。

 

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