□□ 翌日
空には厚ぼったい雲。きのうの青空はもうまったく無い。
粗沈協会の面々と別れ、ぼくは一人八海山スキー場に向かう。途中のコンビニで今日の行動食を仕入れる。
八海山スキー場のケーブルカーで4合目まで一気に登る。ガスでなにも見えない。ケーブルカー終点は雨。というより、おい茂る木々の梢でガスが凝縮されて雨のように降り注いでくるのだ。
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八海山スキー場のロープウェイゴンドラ
窓の外は真っ白の霧 なにも見えない |
合羽とスパッツをつけて、濡れた山道を歩き始める。
雨の山道も良いものだ。負け惜しみじゃなく、ぼくは好きだ。木の葉を打つ雨音がいい。余計な音が消える。人ももちろん少なくなる。
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雨の山道 ぼくは結構好きです |
八海山は修験者の山である。ところどころにお札が祀ってある。水場。役行者。胎内道。後で修験僧を見ることになる。
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山道のところどころにお札 |
およそ40分で女人堂に到着。晴れていれば、ここから薬師岳から始まる八海山の峰々を見渡すことができ、多くの登山者で賑わっているはず。しかし、誰もいない。
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女人堂 人気がない |
小休止の後、浅草岳を越えて薬師岳に向かう。あいかわらずの雨。
薬師岳に登る急登。ガスの向こうにピークが見える。
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ガスの中 薬師岳がかすんで見える
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ピークに到着。誰もいない。
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薬師岳の頂上で |
ピークをやり過ごして、千本桧小屋に到着。ここで休憩。小屋の前には多くの登山客で賑わっていた。
遠くから法螺貝の音が聞こえたと思ったら、修験僧がやってきた。小屋の前で印をきる。そして小屋の中に消えた。なかから太鼓の音が聞こえてきた。祭壇に向かってお勤めがはじまった。
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小屋の中で修験者の祈祷
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ぼくはしばらくそこにいたが、しばらくすると登山客で満員状態になってきた。騒がしい。ぼくは身支度を整えて、来た道を引き返した。
女人堂もにわか登山者のようなイデタチの人でいっぱい。興ざめする。ケーブルカー駅までの道は静かだった。濡れた道を慎重に下った。
ケーブルカーに乗って駐車場へ。見上げるがなにも見えない。心地よい疲労。歩く楽しさ。
着替えをして六日町に行った。今日のキャンプ地を探さないといけない。
それにしても腹が減った。その前に風呂だ。六日町の銭湯。温泉だ。料金は250円。ザブリとつかった。
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六日町の銭湯 250円
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風呂から出たらやたらビールが飲みたくなる。もうちょっと我慢。酒屋で八海山を買う。純米だ。店のオヤジが「最後の一本」といって包んでくれる。
車を坂戸橋の下に置く。今日はここで泊まる。
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坂戸橋の下に今日のねぐらを決める
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ぼくは、車を置いて町に出る。蕎麦屋はないかと探し回る。あった。
さっそく入って生ビールを注文。グビグビと立て続けに飲む。美味い!最高!
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思わず飲んでしまって写真撮るのも忘れた これ2杯目
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刺身を注文。店の主人が「秋刀魚のいいのがある」という。
出てきた秋刀魚。美味かった。ぼくがあんまり美味い、美味いというので、今度は「今日入ったばかりの天然シメジはどうだ」ときた。
もちろん頼む。バター炒めで出てくる。シャキシャキとした歯ごたえが栽培物とはぜんぜん違う。これまた美味い。
あんまり美味い、美味いというものだから、今度は「これを肴にするといい」といってもってきてくれたものがマツタケの吸い物。ダダ茶豆。ぼくは冷酒八海山を注文。
締めにざる蕎麦。新潟の蕎麦だ。喉越しがヌルリとしている。麩海苔がはいっている。ズルズルと一気に食べる。満腹だ。
ごちそうさま、といってお勘定。安くてびっくり。ありがとう、またくるから。
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仕上げの蕎麦
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ぼくはフラリフラリと橋の下までやってきた。ぼくの顔はニヤニヤして、目じりはたれっ放しだったと思う。あまりに酒が美味く、食べ物も美味かった。ぼくはテントを張って、なだれ込むようにすぐに寝てしまった。
□□ 翌日
朝。雨だ。テントが濡れている。すばやく撤収して朝もやの中を出発。関越道をひた走って東京へ帰った。
魚野川に八海山。相撲の取り組みみたいだ。どっちの勝ちか。同体、いつまでたっても引き分けの一番だな。どっちも良かった。まったくホントに楽しい旅だった。